iDSSプロジェクトメンバの研究概要

定性推論における影響の伝播速度と解の妥当性に関する研究

○松尾徳朗

LSDMで提供されるサービスでは、初心者対象であるという性質上、定性シミュレーション 手法が簡易化されている。具体的には、既存のQRでは、時間を積分の際の制約としてやむおえず 必要としているのに対して、LSDMは社会的な現象における影響の伝播を必要不可欠な条件として 導入している。影響の伝播に関して、瞬時の影響伝播、ある一定時間遅れ、不明と分類しており、 3値であるため、ユーザの入力は負担が少ないと言える。しかし、伝播速度が一定時間遅れの場合の 遅れの程度、不明な場合の判定方法はシミュレーションの対象および条件により変化するため解の 妥当性が低減する場合もある。ノードの状態値の変化が影響をもたらすノードの状態値の変化を引き 起こすために必要な時間のオーダーに基づき伝播速度を判定するアルゴリズムを開発する。 本アルゴリズムを用いることでより妥当性の高い解が得られることを目標とする。



多様な総合学習における指導者支援手法に関する研究(仮)

○田中雅章

アブストラクト



定性シミュレーションに基づくサッカーエージェントの行動決定

○小松正樹

RoboCupに代表されるように,サッカーエージェントはマルチエージェントシステム の標準問題として多くの研究がなされている.エージェントがプレーを行うときには, サッカーフィールド,ボール,および他のエージェントの状況を判断して自身の最適な行動を 決定する.サッカーは極めてダイナミックであるので,行動の決定は迅速さが求められる. そこで,本研究では,エージェントの行動決定に定性シミュレーションを用いる. サッカーフィールド,ボール,およびエージェントの振る舞いを一つの系とする. エージェントは,現在の系の状態から時間的に以降の系の状態を定性的に予測する. 得られたシミュレーション結果を基に,エージェント自身にとって最適な行動を決定する. 定性的な情報を基に行うことで,エージェントの行動決定を,より知的に,即時的に 行うことが可能になる.



テキストモデルを用いた意思決定支援システム

○松山学

Webページなどのテキストを,文章の大意,概念等を反映した大まかなトピックに 分類することをテキストモデルと言う.従来,テキストモデルでは前提条件として 文書が一つのトピックについて書かれていることが挙げられた.しかし,日常で使 われる文書ではたいてい多重にトピックが存在する.つまり,テキストモデルでは 多重のトピックについて取り扱えることが重要となる.pLSA,LDA,PMMなどの 多重トピックテキストの確率モデルが研究されている.本研究では,既存の手法を 考察し,実世界への応用システムを提案,実装する.



Webにおける音楽コンテンツ作成支援システムについての研究と開発

○川村修

インターネット環境の普及により,個人のホームページをもつ人口も増加している.ホームページでは,文章による情報発信だけでなく,画像や音楽によるコンテンツ提供も行われている.しかし,画像や音楽のコンテンツを作成するには,難しい専用ソフトウェアの使い方を理解し,専門的な知識を必要とするため,個人の感性を容易に表現することが困難である.以上のように,個人のホームページを持つことが一般的となった昨今,コンテンツ作成の際,ユーザの負担を軽減することが課題となっている.本研究では,Webサーバに音楽コンテンツ作成支援システムを実装することにより,Webブラウザを用いて,ユーザが“楽しみながら”音楽を作成することを支援することを目的とする.



定性推論に関するアルゴリズムについての研究と開発

○川村修

定性推論において,入力とする値の種類が多いほど,状態分岐が多くなり,計算量が増大する.そして,出力される解は,不必要なものを多く含むものとなる.計算量が多くなるということは,定性的に問題を解く意味を無くしてしまい,解の多さは,出力される結果を曖昧なものとしてしまっている.本研究では,定性推論におけるアルゴリズムを,完全性を保持しつつ,健全性を高めることを目的として,状態分岐の削減と解の絞り込みを目指す.



音楽CD情報の共有

○古賀隆浩

CDDBの情報を元に,ユーザが使用した(コンピュータで再生した)音楽CDの 情報を共有する.CDの使用状況,又はレビューなどから協調フィルタリングを用いて ユーザの嗜好を推定し,似たような行動をとっているユーザに対しCDを推薦する. また,協調フィルタリングを用いたシステムではユーザが多いほど正確な推測が 可能となるが,いかに多くのユーザにシステムを利用させるかというインセンティブ についても研究する.



ユーザの入力負担を軽減可能なホームプランニングシステムの開発

○早川潤一

近年の計算機の汎用化に伴い、計算機を用いたユーザ支援が可能に なってきている。本研究では、既存の家計簿の問題点であるユーザ の入力の負担および困難性を解決可能な支援システムを開発する。 本システムは、さらに、ユーザが入力した値および過去の入力で得 られた家計の変化傾向に基づき短期的なホームプランニングを支援 する。