スライドの再利用による プレゼンテーション資料作成支援システム 一基
Implementing a Support System ’ikki’ for Reusing Presentation Slides
丹羽一輝

アブストラクト

近年,企業や大学において,電子プレゼンテーションが広く利用されている.プ レゼンテーション資料の作成,および発表を行うことができるものとして Microsoft 社の PowerPoint や Apple 社の Keynote がよく挙げられる.本研究におけるプレゼ ンテーション資料とは,口頭では伝えきれない内容を補完し,発表内容の理解を促 進する目的で,発表者が聴講者に対してプロジェクターを使用して提示する資料で ある.本研究では,特に Microsoft 社の PowerPoint を使用して作成されたプレゼン テーション資料を対象としている.これらのプレゼンテーションツールを用いて作 成されたプレゼンテーション資料は,個人の計算機に蓄積される.そして,新たな プレゼンテーション資料を一からではなく,蓄積されたプレゼンテーション資料に 含まれるスライドを再利用して作成することも少なくない. 従来の PowerPoint や Keynote では,プレゼンテーション資料を検索して,プレゼ ンテーション資料に含まれるスライドを再利用できるかどうか確認するために,ファ イルを一つ一つ開く必要があり,内容の把握が困難であった.また,再利用したい スライドを別のプレゼンテーション資料に結合する際も,ウィンドウ間の移動を繰 り返しながらスライドをコピー&ペーストしなければならなかった.これはユーザ にとって大変負担であり,作業時間も大きくなってしまうという課題がある. そこで本研究では,蓄積された既存のプレゼンテーション資料中のスライドを再利用して,新たなプレゼンテーション資料を作成する際のユーザの負担および作業時間を削減することを目的とした.この目的を達成するために,ユーザが再利用し たいプレゼンテーション資料の検索,閲覧,再利用スライドの選択,結合を一括し て行うことができるプレゼンテーション資料作成支援システム “一基”を実装した. 本システムでは,スライド再利用のための一連作業を同一ウィンドウ及び派生ダイ アログのみで行うことができるようにすることで,複数のウィンドウ操作における 負担の削減を図った.ユーザは複数のウィンドウを行き来することなく,シームレ スにプレゼンテーション資料の作成を行うことができる.また,同一ウィンドウ上 でプレゼンテーション資料中のスライドの一覧表示と拡大表示を同時に行うことが できるインターフェースを設計し,スライド内容の把握を容易にした.さらにその ウィンドウ上で閲覧と同時に再利用スライドの選択も可能にすることで作業時間の 削減を図った.ユーザは本システムを利用することで,本来別々に行わなければな らなかった作業を同時に行うことができる. 評価実験では,蓄積されたプレゼンテーション資料中のスライドを再利用するに あたって,Microsoft 社の PowerPoint を利用する一般的な方法と,本研究で提案し たプレゼンテーション資料作成支援システム “一基”を利用する方法の 2 通りでユー ザにプレゼンテーション資料を作成してもらった.その際にユーザにかかる負担と 作業時間を計測することで “一基”を評価し,本研究の有効性を示した.