集団行動を考慮した 居場所情報管理システムの試作
荒川智哉

アブストラクト

本論文ではある特定の集団に属するユーザの居場所情報を管理し,ユーザの移 動を推定して居場所情報の更新の通知や自動更新をするシステムを試作した.本 論文での居場所情報とは,集団に属するユーザの「食事」,「帰宅」といった状態を 表す情報や「研究室」,「図書館」といった特定の位置情報である.このシステム の対象は研究室といったグループで行動することが多い集団が挙げられる.直接 顔を合わせての会議や複数人での議論のことを本研究では集団行動とする.そう いった集団は,集団行動をするために学内等を頻繁に移動すると考えた.そのた め,コンタクトを取りたい相手が本来いるべき位置にいないことから会えず,時 間を無駄にするという問題が生じてしまうことがある. 居場所情報問わずユーザの位置情報を取得する際に,GPS が用いられることが 多い.しかし,GPS は屋内であると十分な結果を出すことができない.そこで本論 文は,GPS で取得することが難しい屋内の居場所情報の取得に関する問題を解決 するため導入の容易さも考慮したうえで,Bluetooth ビーコン(以下ビーコン)を 用いた.Bluetooth といった近距離における無線技術を使用することでユーザの所 有しているスマートデバイスからでも利用することができる.ユーザのスマート デバイスに専用のアプリケーションとしてインストールすることで,スマートデ バイスが受信したビーコンから得られる情報(以下ビーコン情報)の差異や連続 性から次の目的地を推定したり,居場所情報の自動更新や更新の通知をする.そ こでグループでの移動も考え,各ユーザによる操作の煩雑さをなくすため周囲に いる人も同時に更新する機能を実装した. この集団内における居場所情報公開方法として,本研究室で用いていた紙とマ グネットでの居場所管理方法を参考にし,名前の入ったマーカーオブジェクトを 居場所が書かれている枠の中に入れることで居場所情報を更新してくれる Web ア プリケーションを UI として使用した.この Web アプリケーションとユーザの所有 するスマートデバイスを連携することによりユーザの作業している PC からもコン タクトを取りたい相手の居場所情報を視覚的に獲得することができる. 本論文では,この 2 つのアプリケーションを使用する事で集団に属するユーザ の居場所情報が最新のデータに更新され,コンタクトを取りたい相手と円滑に会 うことができることを示した.