複数PCを操作可能なスマートフォンを用いたマウスイベントインタフェースの実現
岩田 知

アブストラクト

今日では個人向けのコンピューターであるパーソナルコンピュータ(PC) 端末を 多くの人が所有しており,仕事・プライベートを問わずさまざまな用途で用いら れている.また,デスクトップ型だけでなくノート型も普及しており,場所につ いても屋内・屋外を問わずさまざまな場所で用いられている.内閣府の調査によ れば,2016 年 3 月末の時点で,総世帯の 67.7%が PC 端末を保有している.また, 二人以上の世帯に限れば 79.1%の世帯が PC 端末を保有している.これは,1 台の PC 端末を複数人で共有し利用している世帯が多いことを示している. 仕事・プライベートのみならず,教育用途で用いられる PC 端末も増加している. 文部科学省の調査によれば,全国の公立学校において,教育用コンピュータ 1 台 あたりの児童生徒数は,2016 年 3 月末時点で減少傾向にある.このことから,公 立学校に対する教育用途の PC 端末導入数が増加傾向にあると考えられる.これら のことから,コンピュータ室のような,PC 端末が複数存在するような環境は増加 傾向にあると考えられる.また,1 台の PC 端末を複数人で逐次的に利用するよう な場合も増えている.本研究では,これらの環境において,PC 操作デバイスの操 作委託の煩雑性を課題として研究を行った.この課題を解決することができれば, 操作デバイスの受け渡しや,姿勢の変更などを必要とせず,容易に PC 端末の操作 が可能になると考えた.また,複数の PC 端末が存在する環境においても,操作対 象となる PC 端末の切り替えを可能とすることで,より汎用的なシステムとなる と考えた.本システムは PC 端末のディスプレイ上に仮想マウスカーソルを表示さ せ,ユーザがこれをスマートフォンにより操作することができる.この仮想マウ スカーソルの座標に対し,MouseDown や MouseUp などのマウスイベントを発火 させ,PC 端末を操作する.本研究では,スマートフォンと PC 端末で PC 端末上の 仮想マウスカーソルを操作するためのインタフェースの開発および検討を行った. スマートフォンのタッチパネルとジャイロセンサーを利用して仮想マウスカーソ ルを操作する.また,操作する PC 端末の切り替えについても,画面外から仮想マ ウスカーソルが出るという操作を行うだけで,異なる PC 端末へ仮想マウスカーソ ルを移動,つまり操作する PC 端末の切り替えを行うことができる.また,ドラッ グ&ドロップによるファイル操作が可能になる.本研究ではこれらのインタフェー スや機能をまとめてマウスイベントインタフェースと呼ぶ. 本稿ではスマートフォンと PC 端末との通信速度および本インタフェースのユー ザビリティについて評価実験,および考察を行った.